TOP >  夢つくりめっき工房 > 技術開発情報 > 技術開発情報

技術開発情報

夢つくり めっき工房:鉄めっき技術情報

アルミニウム(以下、Alと記す)は鉄(鋼)に比べて軽く(比重が約1/3)、熱の伝わりは凡そ3倍早い、換言すると軽くて熱を逃しやすいという特徴を持っている。しかしその反面、機械的強さ、例えばAl圧延材の引張強さは軟鋼の約1/8で、いかに機械的強さに劣るかが理解されよう。このような性質が機能部品の材料として不適当である原因といえる。従って疲れ強さのように材料自体の強さが要求されるものに対しては致命的な欠陥を持つ材料となる。

しかし、摩擦、摩耗は何れも表面で起こる現象であり、素材の強さが不十分であっても、表面が然るべき性質を持つものであれば十分機能材料として活用できる筈である。この考えに基づいて古くは硬質アルマイト(陽極酸化処理)が利用され、最近ではプラズマ窒化、PVD(物理的蒸着法)、イオン注入等の手法を活用して表面改質処理が行われている。

それでは弊社が開発したFeあるいはFe-Cr合金めっきとそれらのめっき-拡散およびめっき-窒化系表面熱処理を複合させた表面層の特徴について述べることとする。

1. 弊社で開発した技術の特徴 

1. 1 汎用技術の活用
まず、弊社が開発した技術の特徴の一つは、電気めっきによってAl合金の表面にFeまたはFe-Cr合金めっきを施した後、熱拡散あるいは窒化系の表面熱処理を複合させたことで、これらの技術は何れも古い歴史があり、且つ安定した技術で、処理に当たり最近の新しい技術を利用したものと比較して特別な技術を必要とせず、しかも設備費を低く抑えることが可能である。
1. 2 めっき皮膜の密着性強化

次に挙げられる特徴はめっきと熱拡散処理を複合させたことである。この処理によってめっき界面にはAlとFeまたはFe, Crの相互拡散現象みられるようになる。例えばA5052P材に約20μmのFe-8%Cr合金めっきを施した後、N2雰囲気中で500℃、3 h加熱処理するときは凡そ10μmの相互拡散層を生ずる。また、500℃、5 h浸硫窒化処理するときは、表面付近にFe-S、Fe-N系の化合物層を生成するため相互拡散層の厚さが抑制され、図1に見られるように約2μmとなる。しかし、この程度の厚さであってもめっき層の密着強さは著しく改善され、加熱、冷却が繰返される場合でも剥離を起こすことはない。
1. 3 亀甲模様の亀裂の有効性
加熱に伴ってAlとFeの熱膨張率の違いからめっき面には図2に示すような亀甲模様の亀裂が発生し、この亀裂が固体潤滑剤のコーティングの際に結合剤として添加された熱硬化性樹脂が浸入、凝固してアンカーの役割を果たし、固体潤滑剤皮膜の密着性を向上させる役目を果している。
他方、潤滑油の介在する摩擦条件下ではめっき面に存在する亀裂が油道あるいは油溜りの役割を果たし、低摩擦、耐摩耗性及び耐焼付き性に優れた特性を現わす。
1. 4 窒化系表面熱処理によるめっき面のセラミックス化
摩擦面間において金属同士が接触を起こすとき、そこに凝着現象が現れ、摩耗が進行する。すなわち、凝着に起因する摩耗は摩耗現象の最も基本的な形態であり、これを正常摩耗ともいう。
そこで、接触する金属同士の何れか一方の摩擦面をセラミック化することによって凝着を防ぐことができれば耐摩耗性改善の上から有効な手段となることは明らかである。丁度半田付けの際、錆を落としてから半田付けを行うのと同じである。錆があると半田がのらず、半田付けができない。その原因は錆がセラミックスのためと判断される。
窒化系の処理をほどこしたFeまたはFe-Cr合金めっき層の表面層にはεFe2-3N, その下層にはγ’Fe4Nなどのセラミックスの一種である化合物が存在するため、凝着が起こり難く、従って損耗の少ない状態が得られる。前掲、図1は浸硫窒化処理した表面層をEPMAで分析したもので、最表面のS Kα、その下層のN KαのX線強度の高いところは何れもセラミックスで、凝着抑制効果に優れている。
ことに潤滑下においては前項で述べた亀裂の油道と凝着抑制効果のある化合物層の生成により低摩擦、耐摩耗性に優れた表面層が得られる。
1.5 異種金属の溶接に有望
従来の技術ではAl板材と鋼板を点溶接するためには電極、専用溶接機など、解決の待たれる問題が山積している。今回の開発技術では予めAl板材の溶接個所に厚さ数μmのFe若しくはFe-Cr合金めっきを施しておくことにより電極の消耗が著しく少なく、鋼板同士を溶接した設備を使って加工が可能であることが認められた。

2. どのようなものに利用されるか

最近の傾向として、自動車をはじめとする輸送機類は省資源、省エネルギー、環境保護などの観点から軽量化が大きな課題の一つとなっている。

従って今回の開発技術はそれらの機能部品に活用される傾向がみられる。

現時点で実用化されているものに自動2輪車のブレーキディスク、ピストンなどが在る。また試作の段階であるが、自動車エンジンのピストン、家電製品に用いられるコンプレッサーのピストンなどが有望といえる。

以上は弊社が開発したFe及びFe-Cr合金めっきについてその概要を記述したものです。

詳細を知りたいと思われる方はご面倒でも弊社までご連絡ください。別に挙げたような資料を用意しておりますのでお手元までお届けいたします。

図1.
500℃で5hガス浸硫窒化処理したFe-8%Cr合金めっき層における
N(窒素)及びS(イオウ)の侵入状態とめっき界面における淡河拡散現象

図2.
400℃で1h真空炉中で加熱した際、
Fe-8%Cr合金めっき面に現れた亀甲模様の亀裂

ページ上部へ戻る